プライベートエクイティファンドのスキルチェック

プライベートエクイティファンドの選考プロセスの一例は以下の記事にも記載したが、

pemensan.hatenablog.com

本記事では私が経験したいくつかのファンドの選考プロセスの中で実際にあったスキルチェックの内容をお伝えしたい。加えて、スキルチェックを乗り切る知識を得るための書籍等もご参考までにご紹介したい。

スキルチェックとは

プライベートエクイティファンドの選考プロセスにおけるスキルチェックとは、主にLBOモデルのテスト(モデリングテスト)と投資仮説のディスカッションの二つである。以下にそれぞれについて内容と対応策を記載する。

モデルテスト

プライベートエクイティファンドの選考プロセスにおけるモデルテストとは、財務モデリングのテスト、特にプライベートエクイティファンドが買収の際に用いるレバレッジファイナンスにかかるLBOモデルのテストが一般的である。

テストの内容はファンドごとに異なるため一概に言うことは難しいが、基本的にはベースとなるLBOモデルに対してある投資検討企業の財務数値を入力し、損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書の3表を連動させることは当然のこと、事業計画の前提となるKPIの検討、対象企業の業種や事業計画の内容等から取得するレバレッジファイナンスの水準や返済計画、財務コベナンツの内容を検討する。

IB出身者や事業投資の経験者であれば財務モデリングには馴染みがあるので問題ないと思われるが、戦略コンサル出身者等企業買収の未経験者にはそれなりにハードルのあるテストだと思われる。完璧な結果を求められるわけではなく、ポテンシャルもみて判断するということだったのでそこまで構える必要はないと思われるが、対策をしておくに越したことはないと思うので、実際にIBやPEでも読まれている参考書籍を以下に挙げておく。

古い本ではあるが、LBOファイナンスの総論からストラクチャー、各種契約の内容まで網羅されており、極めて実務的な良書である簡単な財務モデルのサンプルも巻末に記載されており、(Excelファイルでなければイメージが湧きづらいかもしれないが、)未経験者の方はこちらを参考に自分で一度モデルを作ってみると、LBOモデルテストの合格ラインには達するのではと思う。 

本気で勉強されたい方にはこちらの書籍をおすすめする。LBOファイナンスだけでなくバリュエーションについても詳しく記載されており、英語ではあるものの一読する価値はあると思う。

投資仮説のケーススタディ

プライベートエクイティファンドの選考プロセスにおけるケーススタディとは、ある投資検討先企業に関する投資仮説についてのディスカッションが一般的である。

テストの内容は、こちらもモデリングテストと同様ファンドごとに異なるため一概に言うことは難しいが、大きく分けて、①その場で四季報等の会社情報が渡され投資候補先の選定からバリューアップやEXITの考え方までをディスカッションする方式と、②事前に対象となる企業とその情報が開示され、一週間程度間隔をあけて面接が設定され、その面接の場でプレゼンテーションを行う方式がある。

いずれにせよ、こちらの記事における投資仮説にかかる質問の回答方針とも重なるが、過去のPEファンドの成功事例や普段から興味のある分野を深堀りし、マーケット動向やバリューアップの考え方を整理しておく必要がある。また、M&AIPOのバリュエーション水準を知っておくことで、投資からExitまでのストーリーが説明できると良いと思われる。一方で仮説ではあるので、正解があるわけではなく、論理的思考能力を駆使して面接官と建設的なディスカッションを行うことができれば問題なく通過することができると考えられる。

業界知識にかかる書籍と重なるが、以下の書籍にPEファンドがどのように投資仮説を立てて投資を行い、その後バリューアップを経てEXITをしているかが記載されているのでご参考にされたい。